<お部屋の御案内> 箱根温泉旅館

 
往年の名優、坂東妻三郎さんがお好きだった部屋です。坂東さんが初めてお泊りになったのは昭和2年秋、新婚旅行においでになった時です。往年の大スターですから、ファンのお出迎えはまるで、天皇陛下がお通りになるような有様だったと先代は申しておりました。今日では御子息様の「田村高廣さんを囲む会」が毎夏に催されております。
 
この部屋では川端康成先生が執筆していらっしゃいました。先生は昼間はお寝みになられ、夜中にお仕事をなさいますので、お夜食のお茶漬けをいつもご用意しておりました。そして朝になると、入り口の戸に挟んである原稿を雑誌社や新聞社の方が取りに来られました。先生はお優しい方でしたが、大きな目でジロリとこちらを見られると身が縮む様でした。
 
劇作家の北条秀司先生は小田原にお住まいの頃、この部屋で書き物をされたそうです。窓の外を流れる早川の風物は、春は小鳥、6月は湯坂山の川岸に光る蛍、そして7月下旬より9月にかけては窓辺の百日紅(さるすべり)の大木が沢山の桃色の花を咲かせます。

<TOP>        <もどる>